雨。
降る。
さぁさぁ。
雨は降ると言うけれど。雨が落ちるとは言わない。
でも、気分は落ちる。
さぁさぁ。
落ちる気分。下がる気分。
登る気分。上がる気分。
気分。
さぁさぁ。
気持ちが落ち着かない。でも気持ちは落ちない。
気分は落ちる。でも気分は落ち着かなくない。
落ちる。落ち着く。
さぁさぁ。
考えて、考えて、考え抜いて、考え抜ける。
抜ける。つまり落ち目。
落ちる。
さぁさぁ。
落ちて落ちて、落ち果てて。
果てとはつまり有限で。
果てた後には戻るのみ。
戻る。
さぁさぁ。
戻る。つまりリセット。
初期位置。
さぁさぁ。
ようやく冷静に考えられる。
今なら何も怖くない。なぜならさっき落ち果てた。
果てまで行った。つまり既知。
知ることほどに、心強いものはありはしない。
さぁさぁ、いくらでもかかってこい。
降れば降るほど、その地は打たれ、強くなる。
この自も打たれ強くなる。
河川敷から街中へ。
今までと反対の方向への散歩だったから、見る景色全てが真新しい。
つまづく。何とかこけずに済んだ。
このくぼみは何だろう?元々ここに何かあったのだろうか。
家の前で話す主婦がいる。楽しそうだ。自分の子どもの話をしているのだろうか。自転車に乗ってどこに行くところだったんだろう。時間的に買い物かな。
車が横を走る。後ろの車がやたらと詰めて走っている。急いでいるのだろうか。それともマイペースに走りたい人なのだろうか。窓から見えた顔はすました顔をしている。あの距離が彼の当たり前なのだろうか。
住宅街へ。
花屋さんがある。隣には閉店した居酒屋が。その隣にはきれいな和食店がある。ここにも何かの物語があったのだろうか。
小学校の前を通る。関係者以外立ち入り禁止。下校時のルールを書いた看板がある。グローブを付けた笑顔のカンガルーの絵は、何を意味して書かれたのだろう?不気味な笑顔だ。
大きなカバンを持った女性とすれ違う。片手にはアナログな地図。近くのおじさんに道を聞いている。
近くに駅があるわけでもないのに、彼女は一体どこからきて、どこに向かっているのだろう?
なんてことのない散歩。
それでも普段と違う時間。
何も解決していないけど、顔の向きを変えるたびに、それぞれ違った物語がそこにある。
小さな会社のロゴにも意味があれば、それができるまでのストーリーがある。風化したのれんのかかった入り口は、きっと今まで数多くの人がくぐってきていたのだろう。他の家の陰に隠れてしまっている小さな公園は、きっともっと大きかったのだろう。
見えるものだけが全てじゃない。井の中の蛙から、大海を見下ろす海鳥になりたい。
そして小さな井戸へと着いたのでした。
歩く。
空を見上げる。青い。
雲が流れている。気流に乗って西から東へ。緩やかだけど、確かに流れている。
月が浮かんでいる。上限の月だ。
空に張り付いたように見えるけど。目を凝らせば立体的なのがわかる。
動いていないように見えるけど。実際は高速で回っている。向きが変わらないのは月の自転周期と公転周期が同じだからだ。
ただ浮かんで見えるけど。空に浮いているのではなく、もっと先の、宇宙に浮いている。周りにあるのは青色じゃなくて黒色だ。
今、なんてことなくただただ歩いているけど、実際は秒間約30kmで動いている。
見えない、感じないところで、静かに事は動いている。
自分が感じるこの一瞬は、宇宙のものさしで図ると一瞬ですらないのだろう。
宇宙カレンダーというものがある。
宇宙の歴史を365日に圧縮したら、一秒は約400年程度だそうだ。関ヶ原の戦いは、12月31日が終わり、新たな年が始まるまさに1秒前というわけだ。
自分の感じる1秒とは、宇宙カレンダーでいう1秒の、1/400のさらに1/365の、1/24の1/60の1/60ということらしい。
そんな一瞬を生きているはずなのに、一日は長いし、一か月はもっと長い。一秒は一瞬のはずなのに。
広大という事はひいては些細であるともいえる。極小はとてつもなく壮大なことでもある。
二面性。表があれば裏もある。
よくメディアやネットでも裏を返せばって聞くけれど。表と裏だけじゃなくて、側面もあるから聞いても納得できないんだなと感じたり。
簡潔で完結的であることが求められるけど。複雑で永続的なのが感情だから、説得されても納得なんて
出来ないんだろう。
散歩。
淀川の河川敷をぶらり。
すれ違う人たち。
自転車に乗ったおじちゃん、大学生ぐらいの男女5人組、バーベキューをしている社会人、二人でゆっくり散歩している老夫婦。
彼らは何を考えているのだろう。
キャッチボールをしているカップルが見える。野球が好きなのだろうか?なぜ彼氏はボールを取るときに跳ねたのだろう?一息ついて飲んでいるアクエリアス。なぜポカリじゃないのだろう?ポカリスエットは嫌いなのだろうか。
硬球のテニスボールで壁打ちしている高校生。フォルムが崩れている。最近始めたばかりなのだろうか?もしかしたら高校生になりたてなのかもしれない。
近くで友達も壁打ちしている。隣にテニスコートがあるのに。あぁ、なるほど、有料なのか。
私服でバレーボールをトスしあう20代後半のグループ。どんな集まりなんだろう、サークル的な何かなのかな。その割には運動する格好じゃないな。仲のいい地元の集まりなのかな。
最近つまらないなぁ。
何か楽しいこととかないのかなぁ。
そんな風に思わなかったこともないし、よくそんな呟きを友達から聞いたりもするけれど。
自分がしようとしていないだけなんだな、と。
だって周りの人たちはあんなに楽しそうだもの。
自分も彼らと何も違いはない、同じ人間だもの。
楽しいことを探していない。探す努力をしていない。
彼らが努力したかは分からないけど。そうしている人たちが周りにいるという事実。
何か行動を起こさないと、現状は変わらないのかもしれないなぁ。